⑫遺産の分割を一定期間禁止する場合

作成する際は、必ず自書してください。

「あなたの財産を誰に渡したいのか」を書きます。

1

遺言者の財産のうち、別紙目録に記載の事業用の資産のすべてを、家業継続のために、その分割を5年間禁止する。※目録は省略

2

第1項に記載以外の財産は、各相続人の法定相続分に従って相続させる。

3

禁止期限後は、弁護士○○○○(宮城県仙台市△△区××町○○番○○号)に遺産分割方法の指定を委託する。

付言事項の書き方の例です。

4

私が手がけた事業の継続と円滑な承継のために、必要な手続を弁護士の○○先生にお願いしました。この手続のために事業用の資産の分割を5年間禁止しますので、了解してください。
相続人全員が同意すれば分割はできると聞きましたが、父がこの事業に注いできた夢や熱意をどうか尊重してください。

【解説】

被相続人は、遺言で相続開始の時から5年を超えない期間、遺産の分割を禁止することができます(民法908条)

事業の継続を目的としてこのような分割を禁止する遺言を行う目的は、次のような場合が典型例だと思います。
すなわち、家業である会社の業務を、社長である遺言者とその長男と次男が担っていたときに、社長の死後、長男と次男のそれぞれの役割や中心的な事業承継者などが決まっていくまでの間、株式や事業資産の分割を禁止して、事業承継を進めることが必要な場合などです。
ただ、その期間は、5年間を超えることはできません。
また、相続税の申告・納付については、遺産分割を禁止しても必要となります。
また、民法908条1項は、被相続人は、遺言で遺産の分割の方法を定め、またはこれを定めることを第三者に委託することができると規定していますので、文例のように、第三者である弁護士にこれを委託することができます。