⑩母親の面倒を見ることを条件に相続させる場合

作成する際は、必ず自書してください。

「あなたの財産を誰に渡したいのか」を書きます。

1

遺言者は、遺言者が有する次の財産を長男の○○一雄(昭和○○年○○月○○日生)に相続させる。※財産の表示は省略

2

長男一雄は、母親花子と同居の上、同人が生存中、その生活費として月○○万円を毎月末日まで以下の同人名義の銀行口座に振り込むこと。 ※銀行口座の表示は省略

付言事項の書き方の例です。

3

妻花子の老後の安定した生活のために、長男の一雄にお母さんの面倒を見てもらいたいと考え、ほかの子どもたちよりも多く財産を相続させることにしました。
一雄は、どうか父の願いを受け止めて、お母さんを大切にしてください。
ほかの子どもたちも、お父さんの想いやお母さんの幸せを考えて、遺留分の請求をしないようにお願いします。

【解説】

「負担付き遺贈」です。
「負担付き遺贈」とは、遺言によって特定の人や団体に財産を譲る際に、一定の義務(負担)を課す遺贈のことです。

これは民法1002条 に規定されており、受遺者(遺贈を受ける人)は指定された負担を履行する義務を負います。

具体的な遺贈先がない場合、日本赤十字社などに相談すればよいでしょう。

文例では、長男に自宅を遺贈するが、同居して母親の面倒をみることと生活費を月額○○円を払うことを負担として記載しています。
受遺者が負担を履行しない場合、相続人や利害関係人は遺贈の取り消しを裁判所に請求できます(民法1027条)。

負担の内容が明確でない場合はトラブルの原因となりますので、できる限り明確に記載すべきです。