負担付き遺贈

「負担付き遺贈」とは、遺言によって特定の人や団体に財産を譲る際に、一定の義務(負担)を課す遺贈のことです。
これは民法1002条 に規定されており、受遺者(遺贈を受ける人)は指定された負担を履行する義務を負います。

 

【具体的な例】

① 相続人や受遺者への負担
長男に自宅を遺贈するが、同居して母親の面倒をみることと生活費を月額○○円を払うこと
長男に自宅を遺贈するが、次男には1,000万円を支払うこと

② 特定の目的のための遺贈
特定の慈善団体に、孤児支援のために使うことを条件に1,000万円を遺贈する

 

【負担付き遺贈のポイント】

① 負担を果たさなければ遺贈が取り消される可能性がある
-受遺者が負担を履行しない場合、相続人や利害関係人は遺贈の取り消しを裁判所に請求できます(民法1027条)。

② 受遺者は遺贈を拒否できる
-遺贈を受ける側は「負担が重すぎる」と判断した場合、遺贈を受けないことができる。

③ 負担が明確でないと負担の履行がおろそかになるおそれがあり、取消しの請求を裁判所におこなっても認められない可能性がある
したがって、負担の内容はできるだけ明確に記載する必要があります。

 

【負担付き遺贈を利用するメリット】

  • 財産を有効活用できる
    → 受け取る側に適切な義務を負わせられる
  • 意思を反映しやすい
    → 遺言者の希望を具体的に伝えられる
  • 相続トラブルを防げる
    → 公平性を持たせることができる

 

【まとめ】

負担付き遺贈は、単に財産を譲るだけでなく、特定の義務を受遺者に課す遺贈方法です。
負担の内容を明確に定めておくことで、自分の希望を実現しつつ、財産を有効活用することができます。